フサフサの金髪と、お猿さんの尻尾のようにくねくね伸びる茎、そしてその先に広がる涼しげな葉っぱで絶大な人気を誇る、中国生まれの高級観葉植物「ゴールデンモンキー」ことタカワラビ。
実はこのタカワラビに「偽物」が存在するのをご存知でしょうか。
偽物の正体
それがこちら、西日本に自生している「カツモウイノデ」
このカツモウイノデが、「タカワラビ」や「ゴールデンチャウチャウ」「ゴールデンモンキー」などの名前で出回っているのです。知識のないこちらも悪いかもしれませんし、流通名というのはある意味付けたもん勝ちなところもありますが、これに関しては悪意を感じずにはいられません。
イノデさん本人的には偽物なんて言われる覚えは全くないはずだし、彼は彼で西日本絶滅危惧種に指定されている、野生では非常に貴重な植物なんです。それに、育てているとこいつはこいつでなかなか可愛いんですよ。
が、しかし!しかしですよ、植物屋としては、正しいものを正しい名前で間違いのないように販売しなくはいけませんでしょうが。
そう。私もまんまと騙されたのです。
今思えば、1500円で買えるわけがないんです意味わかんないです。騙されたとわかった時はもうこの怒りと悲しみをどこにぶつけたらいいのやら。(そんないのでさんも、お迎えした当時はまだ育て方が下手だったので、カイガラムシに侵略されて枯らしてしまい、ギリギリで採取した胞子から育てた子供が数匹残っているだけとなっております。子供達は今もとっても元気です。可愛いですよ。)
違いを見比べる
….さて、では、まず、本物のタカワラビを見てみましょう。うちのはまだ小さい株ですが。
胴体
葉っぱ
続いてカツモウイノデ。
胴体
葉っぱ
知らなければそんなもんかなぁと思ってしまいますが、比べてみればもう、一目瞭然です。毛並み、茎の太さや毛の生え方、葉っぱの形。芽の出る位置。どれを取っても同種とは言い難い容姿をしています。
タカワラビは基本的にてっぺんのあたりから新しい茎が出ることが多く、一度に出る芽の数もそんなに多くありません。一方カツモウイノデは、それはもう驚くほどに、いくらでも芽を出します。てっぺんとか横とか下とか関係ありません。体のありとあらゆる場所からでてきます。茎の太さも、下から上までほぼ一定で比べると細い印象。タカワラビの茎は、根元が太くて先に行くに従ってシュッと細くなっています。
そして茎に生えている毛ですが、ここにも違いがあります。タカワラビの茎は下の方にだけ、胴体に生えている毛の名残のように生えているのみですが、カツモウイノデは上から下まで茶色い毛がちまちま生えています。
葉の形状も異なっていて、カツモウイノデは分岐が大振りというか、少しくっついたような感じに見えますが、タカワラビは最後の
そして、決定的な違い。それは胴体部分の毛並みと色。もう…説明しなくてもわかるでしょう。
明らかに違います。茶金かこげ茶かです。サラサラかバサバサかです。
そして、カツモウイノデはいくら愛情を注いでもタカワラビのように、聳え立つような形にはなりません。
要するに、全てが違うのです。全くの別物です。
望んでいないものを買わないために
園芸店の植物というのは、今回紹介したタカワラビに限らず、品種名があいまいな場合が多々あります。学名、和名、流通名など、いくつも名前を持っている場合もあれば、全く違う植物に同じような流通名がつけられたている場合もあります。
どうしても不安な時は、信頼できるショップの、一番知識のありそうな人を捕まえて、根掘り葉掘り質問攻めにすることをお勧めします。例えばタカワラビであれば、カツモウイノデの名前を出して、両者の違いを説明させてみてください。キョドッたりどもったり考え込んだり、一回奥に引っ込んだりするところからは買わない方がいいでしょう。というよりも、しっかり知識を持っているスタッフさんであれば、簡単に答えられる質問のはずです。
あとは、店頭の表示を鵜呑みにせず、しっかり調べてから買う。これに尽きます。調べてもどうしてもわからなければ、その情報を持って、やはり店員さんに聞いてみましょう。
みなさん、どうか騙されないように。タカワラビを求めている人がタカワラビを、カツモウイノデを求めている人がカツモウイノデを間違いなく手に入れられる世の中になることを、切に願っております。
後で後悔しますよ。私のように。