室内で植物を育てるのに、育成灯は欠かせません。一昔前までは蛍光灯タイプか、アクアリウムならメタルハライドとかが一般的でしたが、時代は変りました。いまやLED全盛です。蛍光灯使ってるなんて言ったら鼻で笑われそうです。
(↓私は、ばりばり蛍光灯使ってますが↓)
というわけで、今更ながら本格的にLEDの育成灯を導入すべく、気になる製品を比較してみようと思います。
(以下、終始個人的な見解を書き連ねております。参考程度にお読みくださいませ。)
インドアグリーン界で近年幅を利かせまくっているアマテラス。今や育成灯といえばアマテラスというほど、必ず候補に上がってくる植物用LEDの人気者。そんな彼女に、なんといつの間にやら 弟さんが生まれていたようです。 その名も 「TSUKUYO[…]
植物育成LEDの比較候補 3商品!
第一候補は、もちろん話題のAMATERAS LED 20W。
ですが、私にはもう一つ気になるライトがあります。それは2020年12月にボルクスから登場した、アマテラスのパチモン太陽光スペクトルをほぼ完璧に再現した新製品、「Grassy LeDio RX201 Sun」です!
今回はその二つに加えて、以前から気になってはいたものの価格の高さから手を出せずにいたボルクスの古株「Grassy Ledio RX122 Fresh」も加えて、三つのスペックを比較してみたいと思います。
とりあえずスペックで比較。
他より秀でていると思える部分は赤字、劣っていると思われる部分は青字で記載しています。
AMATERAS LED 20w
- 価格 : 14,200円(税込)
- 色温度 : 約5900K
- 演色性 : Ra97
- 光合成光量子束密度 PPFD : 406μmol m-2 s-1
- 照度(照射距離40cm) : 18050lux
- 全光束 : 2098lm
- Lumen : 2098lm
- 備考 : 太陽光の再現性に関しては演色性についての言及のみ。スペクトルの開示なし。
ボルクスジャパン 「Grassy LeDio RX201 Sun」
- 価格 : 11,980円 (税込)
- 色温度 : 6000-6700K
- 演色性 : Ra 97
- 光合成光量子束密度 PPFD : 30cm 234 μmol/m2/s
- JIS照度 LUX [lx] (照射距離30cm): 13,060 lx
- 簡易照度 LUX [lx](照射距離30cm): 14,610 lx
- 備考 : 近赤外光搭載 エマーソン効果による光合成促進。光量をカバーできるか。

ボルクスジャパン「Grassy Ledio RX122 Fresh」
価格 : 17,629円 (税込)
色温度 : 9000K
演色性 : Ra95
光合成光量子束密度 PPFD : 530 μmol/m2/s
JIS照度 LUX [lx] : 28,930 lx
簡易照度 LUX [lx] : 29,000 lx
備考 : 短波長側がやや強く、600nm後半から700nmが不足気味であるものの、太陽光スペクトルに比較的近い比率で構成されている。集光レンズなし。


光合成有効光量子束密度とは、光合成に必要とされる400~700nmの波長に含まれる単位時間、単位面積あたりの光子数のこと。植物育成においては、光強度の目安として使われる。
(引用:ウシオ電気株式会社https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ka/photosynthetic_photon_flux_density.html)
つまり、光合成に使える光の強さという意味ですね。(赤外線は除外されているようです。)
超ざっくり説明すると、赤い光と青い光を別々に植物に当てたときよりも、同時に当てたときのほうが、それぞれの光をより効率的に吸収するようになるという現象のことのようです。これを発見したのがエマーソンさんだそうです。その後の研究でそこに近赤外線を加えるとさらに高効率になることが発見されたようで、赤外線の効果含め、エマーソンの研究から発展したものの総称として使われているのかな、というのが、素人なりの私の理解です。
スペック比較まとめ
このスペックだけで比べると、費用対効果で考えたらRX201でいいんじゃないだろうか。と思えてきます。
AMATERASは、すごいいいよ!という評判は方々から効いていますし、悪いものじゃ無いというのはわかるんですが、スペクトルがみたいよぉ〜というのが正直な感想。RX201とどのくらいの差があるのかとか、使って比べてみてからでしょうか。
あと、RX122は、光量はダントツで大きいんですが、少々馬鹿力感が否めない&やはり価格が高すぎるので、一旦候補から除外します。外からの光が一切入らない場所で育てるとか、光を特別多く必要とする植物を育てる場合には、十分選択肢に入るかもしれません。あとは、FRESHと言ったって色温度9000Kはやっぱり青すぎるでしょうとか思っちゃいました。エマーソン効果を狙うならなんらかの方法で赤外光を補うと、もしかしたらものすごい威力を発揮するかもしれませんが、短波長側の山の作り方とかをみても、やっぱり水草用だね~という感じの製品です(本来水草用なので当然です。笑)。水槽で水草を育てるにはすごくいい製品だと思います。ということで、必要性を感じるまでお蔵入り。
アマテラス vs. RX201
というわけで、残るはAMATERAS LED 20w と RX201 Sun
この2つをもう少し比較してみます。
演色性について
演色性はどちらもRa97で同等です。印刷の色校正とかするわけでも無いので、そこまで高演色が必要なのか?と思わなくも無いですが、開発の努力はとても感じます。素晴らしいです。
色温度について
気になるのは、RX201の色温度。6700Kまで行くとちょっと高い気がする。やや青すぎるんじゃないだろうか。と、思いますが、もしかしてエマーソン効果を期待するので有れば、赤外光が含まれている分短波長が強く出るのは以外と理にかなっているのかもしれない。もしくは、そもそものLEDの特性として短波長側に山ができやすいというのがあるので、そこを抑え込めていないだけかもしれませんが。
アマテラスの色温度は5900Kなので、自然な色合いに見えるのはまず間違いないでしょう。やや黄色味を帯びた白という感じでまさに太陽光。スペックを見る限り、お店のディスプレイとか、家でも人目につくような場所でインテリア性を重視する場合はアマテラス一択かもと思います。赤外光がない分、光量自体がRX201より大きいので、問題はないはず。
個人的にはスペクトルを開示しているという点で、RX201はひとまず安心感があります。自分がどんな光を当てているのかわかるというのは重要です。肥料の袋に成分のバランスが書いてあるのと同じことですからね。ここに関してはなぜ太陽光の再現をアピールしているアマテラスがスペクトルを開示しないのか不思議でなりません。ただし、これだけ普及しているアマテラスで、生育上の問題についての話を全く聞かないことから、実用上問題無いスペクトルを持っていることは想像できます。(アマテラスは赤外を含まないというのは小耳に挟みましたが、確証が無いのでわかりません。)
RX201の最大の欠点は光量がアマテラスに比べて少ないこと。
RX201 Sun 照射距離 30cm で 13,060 lx
もう、争うだけ無駄ですね。10cmのハンデもらって負けてますもの。ボルクス。
しかしその分RX201は低価格であり、少ない光量をを赤外光によるエマーソン効果によって補おうとしているので、あながち負けていないような気もします。
- 低光量で最大の効果を狙っているため、もしかしたら費用対効果は高いのかもしれない。(RX201のエマーソン効果にどの程度の効果があるのかは未知。)
- アマテラスの20wに対して18wなので、若干でしょうが電気代も安い。…かも。(ランニングコスト非公表)
もしかしたら、ですが、
RX122 Fresh + RX201 Sun = 29609円
なので、最初にお蔵入りしたRX122とRX201を交互に設置するというのは、意外とありなのかもしれません。と思いましたが、色温度違いすぎるのでミックス光になりますね。写真撮りにくいやつです。
わかんないから両方買ってみた
結局、アマテラスとRX201、両方買ってみました。こういうのは結局使わなきゃわからないんですよね。
パッケージと中身の確認。
私は基本アマゾンユーザーですが、アマゾンで取り扱いがなかったので、楽天で購入しました。送料込みとか送料別とかでお店ごとに値段が若干異なりますが、合計すると大差無いですね。だいたい同じくらいの値段です。(2021.02時点)
※2021.8.22追記;amazonでAMATERAS LED 20wの取り扱いを確認しましたので、下記リンク修正いたしました。
AMATERAS 20w
まずはAMATERASです。
外箱表記チェック。
湿気の多いところで使わないようにと書いてあります。防水性は高く無いのかもしれません。
HPとかで書いてあることと、おおよそ同じですね。(あたりまえか)
箱は、真上にスポンとい引き抜くタイプの蓋になっています。
梱包の仕方も高級感ありますね〜。物欲そそります。
使い方とか、注意事項とかの紙が3枚入っていました。
そして肝心の本体!いいですね〜かっこいいです。公式のメインビジュアルがかっこよすぎて、そのイメージを持っているとちょっと一段下がるかな?という印象はありますが、物自体はとてもしっかりしています。価格にふさわしい作り。
この、LEDの粒が見えないのに太陽光に近い色が出せるのって、どういう仕組みなんでしょう。技術の進歩はめざましいです。
ちなみにこの銀色の反射板ですが、外すことができるようです。柔らかく拡散させたいか、ピンポイントで強く照射したいかを選べるんですね。
Grassy LeDio RX201 Sun
次に、ボルクスのRX201 Sun です。
アクアリウム用品のメーカーだけあって、水槽で使うときの記述が多く見られます。用途は「浅瀬から陸上の植物」とのこと。
ほこり、粉塵はNG
やっぱりボルクスでも防水にはならないんですね。
開けてみます。こちらは普通の箱ですね。高級感はAMTERASのほうが断然あります。笑
入っている書類は保証書と「締めすぎ注意」の紙切れ一枚。必要なことは全部外箱に書く主義のようです。箱は捨てないほうがよさそうですね。
じゃん!本体です!ボルクスのほうが、発光する部分が本体の全面に来ていますね。この磨りガラス上の部分は、拡散レンズとかでしょうか。
こちらも、製品自体は非常にしっかりしています。AMATERASに負けず劣らず。手に持ったときの感動は互角です。
ちなみに、マイクロUSBの端子がついていることに、気づきましたでしょうか。
これです。
実はこれ、「PWM調光」という機能に使用するためのもので、別売りのBluetoothアダプターをつけることで、iPhoneから調光の設定ができるようになる!というものなのです。これについてはちょっと長くなりそうなので、別記事でまとめようと思いますが、簡単に言うとオンオフのタイマーと時間指定でのフェードインフェードアウトなどの設定を分単位ですることができます。
これ、かなりいいです。たのしい。
光量の比較
では、肝心の光量を比較してみます。測定には、アマゾンで購入した安物照度計を使います。精度はわかりませんが、比較には十分使えるのではないでしょうか笑。今まで使ってきて、特に変な値を出す様子もなかったので大丈夫でしょう。
比較方法
壁に対して水平に向けたライト本体の先端から壁にぴったりつけた照度計の光球(センサー部分の白い半球)までの距離を同じにして点灯させたときの最大値を比べます。照度計が安物なので数値の保証はできませんが、参考までに。
アマテラスの発光面がすごく奥まっているので、本体の先端から測るか、発光面から測るか迷いましたが、実用的に考えると本体の先端から測るのが正しいような気がしたので、今回はそちらでいこうと思います。(公式の測定方法とは異なる可能性があります。)
距離はアマテラスが公式で発表している照度の照射距離40cmに合わせました。まあ、アマテラスが20W、RX201が18wなので、勝敗は予測がつきますが、どのくらい差があるのかは、気になるところ。
ちなみに、2月初旬快晴12時の日向で測定した値が99,440Luxです。やっぱり、本物の太陽はすさまじいですね。照射距離1億4960万kmですからね。さすがお天道様です。

AMATERAS LED 20w の 実測照度(距離40cm)
では、まずアマテラスの測定。
白とびしちゃうと訳わかんなくなるので、暗めに撮影していますが、つけた瞬間「うぉ、まぶしいぃ」という感じ。素直に明るいです。ただし、明るいのは中心のみ。
中心の一番明るいところを測ってみると、なんと驚異の35,070 Lux ! 曇りの日中よりやや明るいくらいです。LEDとしては驚くべき明るさだと思います。(….公式の数値よりかなり明るく出ています。正しいのか..?)
ただ、中心から20cmちょいくらい離れるとあっという間に3759Lux、反射板がかなり効いているんだな、という印象です。
反射板なし
反射板を外した場合も測ってみます。
先ほどの反射板ありに比べて、フラットな印象。中心と外側であまり明るさの違いがありませんが、全体的に暗くなります。
実際に測ってみても、同じ製品とは思えないほど光量が下がっています。中心で4349Lux
アマテラスを使うなら反射板を外す使い方は無いかなと、思いました。反射板ありの場合は周辺の光量が急激に下がりますが、実際使うときは今回のテストのように真正面から当てることは無いでしょうから、斜めから当てるともう少し有効な照射範囲は広がりそうです。
RX201 Sun の実測照度(距離40cm)
次にRX201 Sun です。
こちらは、反射板を外したときのアマテラスに近い光の広がり方をしますが、それよりは明るい感じ。
実際に測ってみると、10250lux 。 ギリギリ1万Luxに届きました。公式の測定距離が30cmなので、40cmでの測定はちょっと酷だったかもしれません。それでも、十分明るいなという印象はありました。(これに反射板つけてくれたら最高なのに。)
色味の比較
色味については、思っていたほどの差は感じませんでした。
強いて言うと、アマテラスが暖かい日差し。RX201はそれに比べてやや冷たい印象を感じます。なんというか、植物に当てたときの安心感というか、ホッとする感じがアマテラスにはあります。RX201の光はちょっと人工的な印象が残りますね。
アマテラスがあれだけ太陽、太陽と言っている理由がよくわかりました。これは、ちょっと写真でうまく伝える自信が無いので、買って試してみてください。笑
まとめ
正直、実物を使ってみるまではボルクス推しだったんですが、アマテラスの光は正直素晴らしいです、と思いました。まさに太陽のそれです。影の落ち方とかまで、なんか太陽っぽいんですよね。ちょっとびっくりしました。そしてやっぱりダントツで明るい!
ボルクスも素晴らしいんですが、、、ん〜なやむなー。
5900Kの自然な色温度と光量の両立を求めるならアマテラス。
分光スペクトルを開示している安心感と低価格、あるいはBluetoothユニットによる演出を求めるならRX201。
ということになるでしょうか。
正直、どっちを使っても植物が枯れるとか全然育たないとか、そういうことは無いと思います。価格も、もはや高いとか安いとか悩むほどの差じゃ無いですし。(どっちも高いぞぉ‼︎) 当然距離が遠すぎたら徒長しますし、近すぎたら葉焼けしますし、その辺はもう使い方次第です。広い範囲に当てたいとか、狭い範囲に集中的に当てたいとかでも変わってくるかもしれません。範囲が狭ければ光量が多少低くても足りちゃいますしね。
どちらのライトの光にも、必要な波長は含まれているはずですから、好きな方を選びましょう。
でもやっぱり、見ていて気持ちいいのは、アマテラスですかね。
しばらく使ってみて、今後の購入計画を立てたいと思います。
…そもそも、太陽光スペクトルの再現に意味はあるのか。
散々比較しておいてなんですが、そもそも太陽光スペクトルの完全再現に意味はあるんでしょうか。確かに、見栄えはいいです。圧倒的に綺麗に見えます。
しかしですね、よく考えてみるとですよ、
太陽光スペクトルを再現する=光合成に使えない波長が含まれる、ということは無いんでしょうか。だからこそ、従来使われてきたようなどぎついピンク色の育成灯があるのであって、あれらは光合成に使える波長を重点的に照射することによって太陽光との圧倒的な照度の差をどうにか埋めようとしているわけです。加えて、LEDで10万Luxを作り出すことは不可能です。ということは、太陽光スペクトルを完全に再現したLEDというのは、まさに小さな太陽。つまり、弱〜い太陽光ということになります。
たくさんのライトを設置できればまだしも、1〜2灯のLEDでは、どうしたって補助光の域を出られないということです。
決してLEDの使用を否定しているわけではありません。現に私も使っていますし。ですが、個人的に育成灯を使用するにあたってこの認識は非常に重要だと思っています。例えば薄暗い部屋の窓から離れたような場所で、育成灯当ててるから大丈夫! なんて安心しきっていると、じわじわ光量不足になるというのは想像がつきます。それでも使っていないよりはましですが、いつかどこかに弊害が出てきてもまったく不思議はありません。
なのでみなさん!植物には、
できる限り本物の太陽を当ててあげてください‼︎
週末の1日だけでも、朝の一時間だけでも構いません。それ以外の時は育成灯を当ててあげればいいんです。
どうか、よろしくお願いします。
長い記事になってしまいました。最後までご覧いただきありがとうございました。
では。
インドアグリーン界で近年幅を利かせまくっているアマテラス。今や育成灯といえばアマテラスというほど、必ず候補に上がってくる植物用LEDの人気者。そんな彼女に、なんといつの間にやら 弟さんが生まれていたようです。 その名も 「TSUKUYO[…]
おまけ。お金が無い時はこれも結構いいよ。
実は、ちょっと前からもっとお安いやつを使っていたのですが、それなりにいいです。
1万も出せねぇぞこら、とか、とりあえずなんでもいいから当てないとやばい!という方は、こちらも結構使えます。まあいろいろ価格なりではありますが、近くから照射すれば普通に育ちますよ。
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