瀕死のリドレイを救出する。『根無し成長点のみ』の状態から水挿しで奇跡の再生なるか。

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あんなに元気だったのに。

1年前にやってきたリドレイ。
愛しのリドレイ。
ちょっと貯水用が変な形になっちゃったけど、そんなところも愛おしい。

こんなに元気だったリドレイですが、私の不手際によって、瀕死に追いやってしまいました。↑の写真を見るたびに、胸が締め付けられます。くるしい。

上の写真が2020年8月。
下の写真が2020年11月。

リドレイ 瀕死
2020.11.01

たった数ヶ月の間に、見るも無残なこの姿。

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瀕死に至った経緯

実は、今年の夏、この株の隣でカイガラムシが発生しまして、念のためとこの子にも薬を蒔いてしまったのです。その時この子は特になんの被害も受けておらず、冬越しもうまくいってこれからたくさん成長しようというところでした。もしも写っていたら大変だと、保険のつもりでまいたんです。

ところが、薬をまいた直後から、新芽の成長がピタッと止まり、青々としていた成長点は茶色くなって全く動く気配がなくなりました。翌月になる頃には胞子葉は垂れ、先がカールし始め、貯水用はパサパサに。そしてじわじわと増え続ける茶色の面積。

これは・・・もうダメかもしれない。しかし、諦めたらそれで終わりだ。最後にできることをやろう。と、意を決し、古い水苔を外して根の様子を確認することに。

その結果、

・・・。なんと、

いきている根が一本もありません。

しかも根茎は末期の虫歯のようにグラグラ。水苔を外している途中でプツンと千切れました。ということは、薬が原因なのか、根腐れが原因なのか、ちょっと判断に困る。両方かもしれないし、根腐れに薬が追い打ちをかけたのかもしれない。根腐れが起きていたことは間違いないようです。

兎に角です、これはもう、新しい水苔をつけたところで、どうにもなりません。

ならば、せめて最後の可能性にかけてみようではないですか。弱っていくのをただ黙って見ているなんてできません。悪あがきは得意ですから。

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水挿しで瀕死のリドレイは復活するのか。

根がない以上、水苔から水を吸うことなど到底できません。葉が垂れているからと毎日バシャバシャ水をやったところで蒸れて腐るのが関の山。

しかし、です。根がなくたって、茎から直接だったら水、吸えるかもしれない。どうせこのままなら枯れていくだけなら、試す価値は十分あります。


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水挿し1日目〜2日目

と、いうわけで、古い葉と枯れた根を思いっきり整理して、水にちゃぽん。

リドレイ 水挿し
ちゃぽん。

(あぁぁ、ちっちゃくなっちゃって・・・涙)

弱った貯水葉は全て切り落とし、瓶の淵に引っ掛けるのにちょうどいい形のところだけ残しました。胞子葉も、弱っている中でも一番元気そうなものだけ残し、蒸散を抑える意味も込めて他はカット。わずかに残った根茎が水に浸るように、瓶の淵に引っ掛けます。一晩明けた様子↓

リドレイ 水挿し
2020.11.06

まぁ、一晩じゃ変化ないですよわかってます。

しかし、もし全く水を吸えていないのならあっという間にしおれるでしょうから、現状維持しているだけでもいい方でしょう。一晩で回復するわけはありません。様子をみましょう。

でもね、なんだかね、ちょっとだけね、胞子葉がね、持ち上がったような気がするのはね・・・気のせいか。

すでに11月。これから気温はどんどん下がります。常温に出していては、じきに生育限界の温度を下回り発根とか復活以前の話になってしまうと思われるので、水槽温室に入れて爬虫類用ヒーターマット+サーモスタットで27度前後をキープ。光はビオルックス4本を水槽用のインバーターライトで照射。ヒーターの上にはバットを置いて水を張り、加温と同時に湿度が上がる仕組み。蒸れないように12cmのPCファンを導入して24時間風を当て続けます。

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使っている資材の一覧は、この記事の一番下にまとめています。

 

少しですが成長点に緑色が残っているのも確認できたので、復活の可能性は0ではないはず。・・・0では。

がんばれリドレイ!私も頑張る!(なにを。)


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3日目 小さな変化

数日で変化なんて出ないだろうと思っていたんですが、3日目にしてなんだか成長点がぷっくりしてきたように思います。緑色も若干増えた。

リドレイ 成長点
2020.11.07

調子がいいとは言えないけれど、死んでいるようには見えないですよね。↓の写真が6日前、水挿しにする数日前の成長点。この写真と比べると、やっぱりパサパサ感がなくなってふっくらして、水を吸ってる感じがします。

2020.11.01

ほぼ同じ角度からの写真で比べてみると、長い間動きのなかった小さい胞子葉が、少し起き上がり始めているのがわかります。大きく伸びている方の古い胞子葉はほぼ変化ありませんが、それでも若干角度が上向きになっているような気もする。これは成長点が膨らんだことによるものかもしれません。

ただ、葉が起き上がったというのは水につけたことによる一時的な変化の可能性もあります。根が出てくるかどうかはまた別の話かもしれないのでで、まだまだ気が抜けません。


4日目 小さな変化  その2

そんな毎日観察しなくてもと思うでしょうが、結構変化があるもので、わかりますかねこれ。

2020.11.08

古い方の胞子葉が起き上がってきました。起き上がったというよりも奥側に向かって回転したというのが正しいですが、ねじれて裏返っていた葉が、上を向こうとしているのではないかという気がします。


6日目 新芽が伸びた

長い間くすぶっていた新芽が、伸び始めました。根元の方がしっかりと緑色になっています。が、先の方まで生きているかどうか・・・。この茶色い部分はちょっと心配ですね。先まで綺麗には伸びないかもしれません。

というか、どっちかというと、伸ばして欲しいのは根っこなんだけどなー。

2020.11.10

 

そしてもう1つ、後から写真を見比べて気づいたんですが、丸まっていた胞子葉の柄が開いていました。少しづつですが、着実に回復に向かっています。これで根っこさえ出てくれれば完璧なんですが、そのエネルギーを蓄えているところなんでしょうきっと。

胞子葉自体も上を向いてきて、なんだか正しい姿に近づいている気がします。

さて、

発根が先か、腐るのが先か。
彼の体力にかけるしかありません。

はやくねっこだしてくれ〜。(出ないのかな・・・)

8日目 葉脈に異変が

現在8日目、11月12日の夜です。貯水葉の葉脈に、なにやら黒い筋が。

リドレイ 貯水用の葉脈が変色
2020.11.12

貯水用が黒くなった時にいいことがあったという話は聞いたことがないので、きっと悪いことが起こる前触れだろうと仮定します。そしてその悪いことというのは「蒸れに依る腐敗」一択と思っていいんではないでしょうか。状況的に、どう見ても水分が多すぎて起きた症状です。ちょっと成長点の周りに水が溜まりすぎてる気はしたんですよね。

危惧していたことではありますが、やっぱり、リドレイに長期間の水耕はきついのかもしれません。写真を見る限りでは、おとといまではなかったみたいです。発根はしてないにしても、少し回復してきたところでもあるし、これまでの感じを見ると、水を吸う機能は割と残っているようなので、この症状が進行する前に、水苔植えに移行してしまおうと思います。

今から水苔の準備をして、明日の朝から作業スタートします。ここから変化が加速しそうな予感。どっちに転ぶか。

9日目 水苔に植え替える

さて、予定外ですが、発根を待たずに水苔に植え付けることにします。少しでも通気性を良くしようと思い、プレステラにドリルで穴を開けまくりました。

 

さらに、下半分には軽石を。下まで水苔にすると、水苔の量が多すぎて蒸れるんではないかと思って底上げ用です。

そして水苔。山盛りです。

貯水葉の裏に、根茎を包み込むように水苔を詰めます。

ぱこっと。

貯水葉の端っこの方は少しカットしました。葉脈が変色していた貯水葉は、ひとまずつけたままで様子見。

ずれないように固定しました。いつもだったらテグスを使うんですが、今回はできる限り葉を傷めたくなかったのでタコ糸。

タコ糸が吸った水分が停滞して腐ったりしなければいいけど、と、後からちょっと心配になりましたが、とりあえず。

こんなかんじになりました↓

縛り上げられてる感がちょっとかわいそうだけど、仕方ない。

 

再び水槽温室に入れて、一番風の当たるところに配置。

生長点付近の過湿は、緩和された様子。ここからは、乾かしすぎず、湿らせすぎず、水加減命です。とりあえず、葉水は頻繁にやろうと思います。

 

「根無し生長点のみ」と言っていた割に、意外と生きている部分が多かったことに今更気づきました。最初は、付いている胞子葉も貯水葉も、全部枯れ落ちるんだろうと思っていたんですが、水につけてみたら結構回復するもので。やってみてよかった。

しかも、根っこも何だか機能しているような気がするんですよね。根茎にちょろっとだけ残っていた根が、結構生きていたのかもと思って、だとすれば、ここまで回復していれば水苔に植えて水分を調節してやったほうが腐るリスクは確実に低いのではないかと。

朝起きてすぐに作業したので、ちょっと寝ぼけて、塗ろうと思っていたルートンを塗り忘れたことに今更気づきましたが、とりあえず様子みますか。

10日目 生きてます。

水苔にしてから一晩あけました。生きてます。
葉脈の変色は、水苔に植えたらあっという間に消えました。やっぱり過湿が原因だったようです。そして、葉脈の変色は、初期であれば回復することもあるようだということがわかりました。葉脈の変色には、迷わず迅速に対処したほうがよさそうです。

 

あと、変色した葉脈の右側、茶色くうねった部分は、湿ってぐじゅぐじゅだったので、昨日の植え替え時に切除してあります。この傷口も、経過は今の所順調。

18日目 停滞中

水苔に植え替えた後から、ピタリと変化がなくなり、良くも悪くもなりません。作り物のように一切変化をしなくなりました。

2020.11.23

 

わかりますかこれ↓ 一切変化なしです。いくら植物だからって、これは動かなさすぎでしょう。

生きてはいるんですけどね〜。根っこ伸びるまで待つしかないですかね。

71日目 水耕栽培再び。

その後1っヶ月以上停滞を続けた後、徐々に元気がなくなってきてしまいました。明らかに水が吸えていません。

2021.01.16
2021.01.16

せっかく膨らみを取り戻していた成長点も、またしわしわの状態に逆戻り。水苔を剥がしてみると、当然根っこは出ておらず。

仕方ないので、もう一度水耕栽培に戻してみます。

 

80日目 成長点に緑色が!

水耕に戻して9日目、成長点に緑色が!!これは、これは復活の兆しか⁉︎

やっぱり水に刺すと葉にハリが出るので、葉脈が黒く変色しているのが気になりますが、しばらくこのままにしてみようと思います。うまく成長点が動いてくれれば、ルートンを塗ってもう一度水苔に植えてみるのもありかも。

古い貯水葉は、着実に弱ってきているので、そろそろタイムリミットが近そうです。回復か、脱落か。時間との勝負。

84日目水苔に植え替える_2回目

成長点の画面奥側から、新しい葉が起き上がってきているようです。どっちだろう。貯水葉かな。胞子葉かな。どちらにしても、自信を持って動き始めたという確信を持てるようになってきました。

ただ、根っこはまだ全然生えていないので、このままもう少し水につけておくか、もう一度水苔に植えてみるか、悩みましたが、貯水用の黒ずみも広がってきたので、水苔植えに再挑戦。

その前にメネデールに3時間ほどつけておきます。念のため。気持ち薄めの200倍希釈にしてみました。

3時間経ったので、植え付け作業開始します。

一回目の植え付けの時に、プレステラに穴を開けまくったものを使いましたが、あれでもまだ水分量のコントロールが難しいなと感じたので、今回はさらに思い切ってみました。

 

その名も、

スリットスリット鉢!

スリット鉢に、さらにスリットを入れたものです。笑。最大限の通気性を確保するために考え抜いた末の結論。
イメージとしては、ほぼ水苔だけの状態にしたいという考え方です。板付とか球にするような形の方が蒸れのリスクがないのでいいんですが、この後再び水槽温室に戻すので、置きやすくするためと水苔のサポートという意味で、この鉢を使います。

そして、1回目の時に塗り忘れたルートン。今回はしっかり塗ります。

スリットスリット鉢に水苔を詰めたら、リドレイの貯水用の裏にも水苔を詰めてがっちゃんこ。
一回目の時はたこいとでしたが、今回はもうテグスでがっちり固定しちゃいます。
こんな感じ。
完全にやる気を出した成長点。後は根付いてくれれば…!ゴールはもうすぐ。
この植え替えで調子を崩さなければいいけど。。。
まだ1月。外は寒いので、水槽温室に戻して、25度〜27度くらいを保ちます。

100日目‼︎

ついに100日目になりました!まさかの3ヶ月超。しかし、かなり希望が見えてきました。貯水様らしきものが、じわじわ伸びています。

過去3ヶ月の停滞ぶりに比べたら、15日でこの変化は目覚ましい進歩ではないでしょうか。いや、すばらしい。

2021.01.29

 

そして、室内(2階リビング)の気温が20度を下回らなくなってきたようなので、水槽温室から出してみることにしました。成長点がやや乾き気味なのが少し心配なので、ポチョポチョと水滴を垂らすように、ちょっとずつ水やりをしています。おそらく根っこはまだ十分に生えていないはずなので、成長点を湿らすことで水分を補給してくれれば、という願いです。

水は汲み置きの水道水を使ってます。

かつ、扇風機を全力で当てて、水苔が乾いてきたら全体に水をやるというサイクルにしています。成長点を乾かさず、根の過湿を防ぐ。

むずかしい。。。

161日目

その後またしばらくの停滞期間を経て、芽が動き出しました。出てきていたのは貯水葉だったみたいですね。

2021.04.15

 

葉先が茶色くなっているので、綺麗に展開しないかもしれません。

2021.04.15

 

奥からも、もう一つ伸び始めました。このくらい成長始めてくれると、根っこも生えてきたんじゃないかという希望が持てます。

2021.04.15

ひとまず、成長点は完全復活。です! もう一息。

結局、いろいろ試してみましたが、今の所リドレイにしては少し頻度多すぎかな、くらいの感じで水やりをしています。一度の水やりは多くなりすぎないように、成長点とその下の根に染み渡るような感じをイメージしながら、回数を増やす感じです。水槽温室に入れてはいましたが、やはり外気温が上がってくると成長が早くなる感じはあります。

201日目 復活‼︎

貯水葉展開しました‼️

ついに。

この日が。

ながかった〜 (ノ_-。)

 

懸念していた通り、途中茶色くなっていた部分はうまく成長できず、いびつな形の貯水葉になってしまいましたが、それでもしっかり、力強く成長しています。

まじ泣けるわ。よく頑張ったよほんとに。

次の葉っぱも、その次の葉っぱも出てきているので、大丈夫でしょう。ここからは、板付に切り替えるタイミングを見計らうのと、今までの超過保護体制から、通常管理に移行するための順応に失敗しないようにすれば、今年中には以前の姿を取り戻してくれるかな?と期待。

ひとまず、今回はこれにて「成功!」ということで、終了とさせていただきます。

まとめ。

いやー。もう。大変でした。この一言に尽きます。

大変でした。

200日ですよ200日。(1年以内で終われてよかった。笑)

まあでも、無事復活してくれたので、頑張った甲斐は十分以上あります。リドレイのことも少し理解できるようになった気がします。

ビカクシダは品種によって管理方法が全然違ったりするので、今回の方法が全てに当てはまるわけではないですが、1つだけはっきり言えるのは、「諦めたら終わり」ということ。どう見てもダメだろうなと思っても、カビが生えてブヨブヨになるか、カサカサのパリパリになって触ったらぽろっと落ちちゃったとか、そのくらいになるまでは諦めちゃダメです。思っている以上にビカクシダ というのは生命力に強い植物で、枯れているように見えて、まだギリギリ休眠して耐えているということがあるようです。

参考になるかどうかわかりませんが、あれだけしおっしおになったリドレイでも、復活は可能だと、なんとか証明することができたので、枯れかけのビカクシダ にお困りの方の参考になれば幸いです。

 

ではまた。

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↓水槽温室に使っている資材のリンクです↓

PCファンは、↓の組み合わせで用意すると、三脚で自立するので便利です。

↓2枚横並びで60cm水槽にぴったり。バットの上にはハンズで買ってきたパンチングメッシュを敷いてその上に鉢を並べています。

蛍光灯をつけるインバーターライト本体は、蛍光灯タイプのものが軒並み廃盤になっているので、ヤフオクとかメルカリとかジモティとかで探すのがいいです。(2022年4月13日追記:ビオルックス自体も、廃盤になった様ですね..

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