夜咲月見草の育て方と、ヒルザキツキミソウやマツヨイグサとの違いについて

晩春から夏にかけて、一夜限りの純白の花を咲かせる月見草の育て方をご紹介します。

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月見草について

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月見草とは

月見草というと、黄色やピンクの花を想像する方は多いかもしれませんが、本来の「月見草」は、夜咲の白い花を咲かせる植物です。

和名: ツキミソウ
学名: Oenothera tetraptera
原産地: メキシコ
交配: 原種
成長期: 春から夏
休眠期:
花期: 晩春から夏
耐寒性: 秋に種をまくとロゼット状で越冬します
耐暑性: 強いです。関東なら真夏の直射日光も耐えます
日照: 普通に当てて大丈夫。日向の方が元気そうです
結実性: 自家結実性あり。ほったらかしで結実します

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近縁種の見分け方

月見草についてはネットでもいろいろな情報がありますが、「月見草」と称して、「ヒルザキツキミソウ」や「マツヨイグサ」を紹介していることが多々あります。

ヒルザキツキミソウ(琉球月見草)もマツヨイグサも、ここで紹介している夜咲の月見草も、同じアカバナ科に属する植物ですので、仲間ではありますが、その見た目は大きく異なっています。

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ツキミソウ(ヨルザキツキミソウ)

まず、このページで取り上げている「ツキミソウ」
これは、本来「夜咲」や「シロバナ」などはつかず、「ツキミソウ」というのが正式な和名になっていますが、紛らわしいために便宜上「ヨルザキツキミソウ」などと表記される場合があります。

花は純白、一晩しか咲かず、翌朝にはしぼんでいます。

朝になってしぼんだツキミソウ。しぼむとピンク色に染まります。
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ヒルザキツキミソウ(リュウキュウツキミソウ)

次に、最も混同されやすいヒルザキツキミソウです。リュウキュウツキミソウという別名もありますが、原産はアメリカのようです。名前にもある通り、こちらは昼間に開花します。花の色も可愛らしいピンク色なので、違いを知っていれば見間違えることはなさそうですね。

ちなみに、違うのは開花時間と花の色くらいで、葉と花の形や草丈は、夜咲の「ツキミソウ」と、かなり近い見た目をしています。帰化植物として道端で見かけることも多いです。

ヒルザキツキミソウ(リュウキュウツキミソウ)

 

マツヨイグサ

こちらも、前出の二つと同じアカバナ科ですが、名前も花の色も、だいぶ違います。草丈も他の二つより高く伸びるので、比べるまでもなく別の植物という感じ。

なぜこれがツキミソウと誤解されているのかわかりませんが、おそらく、「マツヨイグサ」=「待宵草」⇨「宵を待つ草」という名前のイメージから、「月見草」が待宵草の別名のように扱われたのが始まりなのではないかと想像します。とにかく、これは明らかに容姿が異なるので、すぐにわかるでしょう。

マツヨイグサ

 

育て方

それでは、育て方を見ていきます。念のためもう一度書きますが、ここで扱うのは、

夜咲 で 白い花  一晩しか咲かない

「ツキミソウ」

です。お間違いなき様。

用土

市販の山野草用土で大丈夫です。ご自身で配合する場合は、赤玉土中粒6:腐葉土4くらいの基本的な配合で十分です。その他様子を見て鹿沼土、日向土などをブレンドしてもいいでしょう。保水性、排水性のいい、弱酸性の土になるようにしてください。

植え付け、植え替え

植え付けは春か秋に行います。真夏、真冬は避けてください。あまり根を触られることを好まないため、植え付ける際は根鉢を大きく崩さずに古い根を整理して土を軽く落とすくらいにします。根鉢が硬くなっている場合は、少しほぐしておくとその後の根付きがよくなります。

肥料

植え付け時に元肥にマグァンプK中粒など緩効性化成肥料を施しておくと、一年間は効き目が持ちますので、追肥はせずとも大丈夫です。様子を見て、ハイポネックスなどの液肥を追肥として与えてもいいでしょう。市販の培養土を使用している場合は、土に肥料成分が含まれているかどうかをあらかじめ確認しておいてください。含まれている場合は、元肥は不要です。

水やり

土の表面が乾いたらやります。地植えの場合は特に必要ありませんが、晴天や猛暑の続く等な時、乾くようであれば朝晩の涼しい時間帯に水をやります。冬は日中の暖かい時間帯に、土が乾いていたらやります。冬は休眠しているため、常に土が湿っているような状態は好みません。少し控えめにしますが、乾ききらないように気をつけます。

置き場所

基本的に日当たりと風通しのいい場所で管理します。1日中日陰であったり、室外機の風の当たる場所、などは避けます。また、鉢植えの場合は、コンクリートの上に直接置いてしまうと夏場の高温に根が耐えられず枯れてしまう場合がありますので気をつけてください。フラワースタンドなどを用意して地面から少し離しておくといいでしょう。害虫の予防にもなります。

 

冬越し

冬はロゼットを形成して休眠に入ります。関東以南でしたら屋外で越冬可能ですが、心配な場合は屋内の涼しい場所に取り込んでもいいでしょう。暖房の効いている暖かい部屋に置いてしまうと休眠から覚めてしまうので気をつけます。

冬の間外に置く場合は、寒冷紗などをかけておくのも効果的です。小さい鉢で育てている場合は、水やり直後の氷点下などでの根の凍結に気をつけてください。

ツキミソウ ロゼット
トゼット状になっている冬のツキミソウ

 

開花時期、種の採取

種を蒔いた年には開花せず、冬を越して翌年の晩春から咲き始めることが多いようです。春先に種を蒔いた場合は、その年の夏頃に開花することもあります。

花期は比較的長く、4月〜8月ごろにかけて次々と花を咲かせます。夕方、日が沈む頃から蕾が開き始め、一晩咲いた後、翌朝にはしぼんでしまう夜咲の花です。開花中はまっしろの花ですが、しぼんだ花がらは綺麗なピンク色に染まります。

自家受粉するので、人工授粉は不要です。結果率は高く、種の採種は容易ですので、スペースがあれば種を採種して増やしてみるのもいいかもしれません。

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病害虫

特段目立つ病害虫の被害はありません。

環境によってアブラムシ、ハダニ、カイガラムシなど一般的な害虫の被害は出ることがありますが、それによって大きくダメージを受けるということはまれなようです。見つけ次第薬剤を散布するなど対処をしましょう。

アカバナトビハムシが葉を食害することがあるようですが、私のところでは数年育ててきてこの被害にあったことはありません。地域による可能性もありますので念のため注意したほうが良さそうです。

また、ヨトウムシやスズメガの幼虫などに葉を食害されることがあります。これらは体が大きいため見つけるのは容易です。見つけ次第捕殺するか、TSゼンターリ顆粒水和剤などを散布しておくと効果的です。

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