ナスの実が成らない! 茄子の落花と着果不良を考察する。原因と対処法。

  • 2020年9月10日
  • 2020年9月13日
  • 野菜
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ナスは収穫量の多い野菜として有名です。古い言葉かもしれませんが「茄子に徒花なし」と言う言葉があるように、その収穫量の多さは咲いた花が全て結実するほど。

※ 徒花=(アダバナ)咲いても結実しない花のこと

・・・の、はずなのです。

しかし、私の庭では、未だかつて徒花以外の花が咲いたことがありません(と言うのは言い過ぎですが。)

つまり、「徒花無し」と言うのは、どんな育て方をしても必ず実がなると言う訳では決して無く、あくまで正しく育てられた、最低条件を満たした場合の話ということです。(まぁ、当たり前ですね。)

この言葉を考えた人はきっと、基礎で躓く人など眼中になかったんでしょう。(くっそぉ〜!)

兎にも角にも今回は、そんな失敗を経て考え、調べたことを、まとめてみたいと思います。同じことを繰り返してはいけません。学ばなくては。失敗は成功するためにあるんです。

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落花の原因

ではさっそく、なぜ花が咲くのに実はつかない、ということが起こるのか、失敗しかしたことのない私が考察してみます。経験者が語ります。

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要因1:窒素過多

まず、定植後、異様に生育がよくなり、やたら大きい葉が出てくるようであれば、間違いなく窒素過多です

一度施してしまった元肥は減らすことはできないので、植えつけの時は十分気をつけてください。私の場合、ナスの前に落花生を育て、そこに普通の分量で元肥を施した時に、この症状が顕著でした。マメ科は窒素を土中に増やすことで有名ですが、そのせいで窒素分が多くなりすぎたのではないかと考えています。

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窒素過多を助長する日照不足

さらに、ここに日照不足が追い討ちをかける場合があります。窒素は日照によって消費されるため、十分に日が当たっていて、窒素の過剰な追い肥をしていなければ徐々に土中の窒素は消費され、症状が落ち着いてきます。しかし、日が当たらないと、ひたすら葉と背丈を伸ばすことに窒素を使ってしまうので、悪循環に陥ってしまいます。

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窒素過多には「食酢500倍希釈液」

一般的に窒素過多の対処として、一番効果的なのは、水やりを控えることと言われています。窒素は水と共に吸収されるため、ギリギリまで水やりを控え窒素の吸収を制限し、植物の調子を取り戻す、という作戦です。

ところが!

ナスは非常に水を好む植物です。何てったって、インドの度々河が氾濫するような土地が原産です。水を切ると枯死させるリスクが高まります。そこで使えるもう1つの手段。それが

食酢500倍希釈液の葉面散布

これはもう、読んで字のごとく、食用のお酢を500倍に希釈して、葉面に散布してください。ということです。原理としてはどうやら、酢酸が窒素と結びつき、消費を促進するようです。多分科学的な反応だと思います(わかってない感。)

余ったお酢は、お料理に使いましょう。

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要因2:肥料切れ

肥料切れの目安としてもっともわかりやすいのが、短花柱花という症状。花柱とはめしべのこと。つまり、めしべが短い花のことを「短花柱花」と言います。

短花柱花。雌しべが見えてません。花が白いのはゼブラナスだからです。

 

これが出た場合、肥料が不足しているのは明白。そして主に不足しているのは「リン酸です。他に気になる症状がなく、短花柱花だけが目立つ場合は、窒素リン酸カリのバランスのとれたハイポネックスなどの液肥をやってもいいと思います。何にせよ、即効性が必要ですので、液肥が効果的。

気をつけたい「窒素過多、リン酸欠乏」の併発

ただ、気をつけたいのが、窒素過多の症状と短花柱花を併発している場合。この時に窒素の含まれる肥料をやってしまうと大変なことになります。肥料をやってもやっても成長するのは葉っぱと草丈だけ。そっちにエネルギーを使われてしまって、結局実がなりません。私は実際にこの状況に陥ったことがありますが、その時にハイポネックスを散布すると、確かに短花柱花は解消するんですが、結局結実せずに落ちてしまう花がほどんどになってしまいます。

ちょっと効き目は遅いですが、リン酸メインの肥料をやって様子を見るのがいいかもしれません。

要因3:水分不足

食酢の話のところで既に出ていますが、インドの度々河が氾濫するような土地が原産のナスにとって、水不足は致命傷です。よく「ナスは水で育てる」と言われますが、まさにその通りだなぁと感じます。同じナス科でもナスとトマトでこんなにも必要な水分量が違うのかと、驚くほど。(トマトは乾燥を好む野菜です。水のやりすぎによる失敗が多いですね)

プランター栽培なら朝晩の水やりは必須、地植えでも降雨の少ない時は水をやったほうが機嫌良さそうです。

要因4:日照不足

最後に、これはどんな植物でもだいたい共通ですが、日照は大事です。できる限り長く陽に当ててあげてください。特にここ数年は、ちょうど定植してこれから成長するぞ!という頃に始まる梅雨が長引く傾向にあります。この時期に日照が少ないと、その後不調を引きずる確率が高まる気がします。お日様のコントロールはできませんが、他の上記3要素で最大限バランスをとっておくことが、長引く梅雨と日照不足を乗り切るポイントになるかもしれません。建物などの障害物で日陰になるような場所で育てている場合は、日の当たる場所に移動することで対処しましょう。

葉を間引くのも有効

日照不足を解消するために葉を間引く、というと、葉っぱがなくちゃ光合成できないじゃないか!と不思議に思うかもしれません。しかし、意外なことに、葉が茂りすぎたことによって株の下まで光が届かず、結果的に日照不足に陥るということがあります。葉が重なりすぎていたり、枝が混み合っていたら、適度に間引くことも大切な作業ということです。風通しも良くなって、害虫や病気の予防にもなります。

 

一番果の重要性

そして、茄子の着果を軌道に乗せる儀式、通過儀礼とも呼べる重要な要素があります。それが、一番花の着果。これが重要な理由としてよく聞くのが、「なり癖をつける」というフレーズ。

・・・でもね、なり癖なんて言われて「なるほどぉ〜なりぐせかぁ!」なんて、納得できますか。意味わからなくないですか。何ですかって。初めて聞いた時、そのあまりにも曖昧な根拠に唖然としたのを、私は今でも覚えています。

そして着果させたところで今度は、株が弱るから一番果は摘果する、とか、なり癖をつけるために一番果は摘果しない、とか、いやいや摘果するほうがあとあとたくさん実がなるよ、とか、人によっていうことはバラバラです。

この謎の「なり癖」とやらが何なのか、少し掘り下げてみます。

なり癖とは

まず、一旦整理して考えるために、『なり癖』 = 『一番果をどうするか問題』 のことだと置き換えて考えてみます。一番果をどうするか、とは、つまり大きくするか、小さいまま取ってしまうかということです。これによって、その後の成長の仕方をある程度コントロールできるようです。

一番果を小さいうちに摘果する

まず、一番果を摘果する(小さいうちにとってしまう)パターン。おそらくこれが多数派の意見なのでは無いかと思いますが、その真意を探るとどうやら、株が若いうちはまだ勢いが無い、あるいはまだ株に力が無いから、一番果の肥大にエネルギーを使いすぎると、その後の生育が衰える。それを防ぐために小さいうちに摘果してしまおう。ということのようです。

つまり、摘果をするというのは株がまだ弱い、決して勢いがいいとは言えない場合に行う処置ということになります。すっごくコンディションがよくて最初からめっちゃ元気な場合は、この限りでは無い。ということもできます。

一番果を大きくする。

次に、一番果を大きくする。つまり普通に収穫するサイズまで育ててしまうパターン。これは、株が順調に元気よく成長している場合。むしろ「勢いありすぎなんじゃないかい、きみ」という場合に選択します。

株が元気すぎて勢いよく育っている時に、教科書どうりに一番果だから小さめで摘果しよう、あるいは実がなる前にとってしまおう、などとすると、その成長の勢いはとどまるところを知りません。ひたすら背丈伸ばす方向にひた走ってしまう可能性があります。そうすると、花を咲かせて実をつける、という本来の任務を、ナスは忘れてしまいます。

なので、株の元気がありすぎる場合は、一番果もしっかり大きくして、ここでエネルギーを使わせるということも選択肢に入ってきます。

一番果が成らない、は論外!早急に対処を。

とはいえ、です。一番果が成らない、膨らむ様子が一切なくしおれて落ちてしまった、というのは最悪の状況です。最初の花が落ちてしまうというのは、一番果の処理云々、着果云々以前の問題になってくる訳です。徒花が無いとまで言われるナスの、ましてや最初の花が落ちるなんていうのは、どう考えたって非常事態です。

思うに、個人的な推測ですが、一番花を着果させるとなり癖がつく、というよりも、一番花が着果しないような育て方ではその先も収穫は見込めない、ということなのではないかと思っています。

この場合は、「落花の原因」のところに戻ってもう一度原因を探ってみます。ここで気付けば、収穫量は減っても立て直すことは十分可能です。

ホルモン剤に頼るという手も。

どうしてもうまく結実しない。あるいは、一番花だけは確実に着果させたい、という場合は、ホルモン剤に頼るという選択肢もあります。有名なところではトマトトーンというのがあります。

しかし、これを使ったからといって必ず着果するかと言ったらそうではなく、やはり初期の育成がうまくいっているかどうかというのが非常に重要です。

ホルモン剤はあくまで補助として考えて、最低限の生育環境は整えてあげられるのがいいと思います。

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野菜づくりの格言

最後に、先人が残した格言を1つ。

『苗半作』

苗の段階で野菜作りの半分は決着がついているんだぞ。という、恐ろしい事実をたった3文字で表したこの言葉。考えた人に会ってみたい。

要するに、苗の時点で、あるいは定植したくらいのところまでで、ほぼ結果は決まっているのだ、と。それくらい、初期の育成は重要ということのようです。

昔の人が言うことは大体正しいですから。

 

さて、今回の考察を元に、来年こそはナスをたくさん作りたいとおもいます。

 

頑張れ自分。

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