「サボテン枯しちゃう=育てるの下手」の方程式について考える。

ちょっと気になったので、ボソッとつぶやいてみるコーナーです。軽く流してくださいまし。

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「植物育てられない」の代名詞

植物をうまく育てられないことの代名詞として定着している「サボテンも枯らしちゃう」というフレーズ。

私は、植物を上手く育てられないことの説明としてこの言葉を使うのは、おそらく植物に対する理解が不足しているか、理解するための努力を怠っているからではないかと思っています。もしくはそれほど植物が好きではないか、植物を雑貨としてみているか…(ここまで言うと少し言い過ぎかもしれません。すみません。)

ただ、私が言いたいのは、たとえサボテンを枯らしてしまったとしても、サボテンの生態について学び、情報を集め、必死に育て大切にしてきた人であれば、

【サボテン=誰でも育てられるはずの植物、それを枯らした私=育てるのが下手】 という認識には至らない

のではないか、ということです。

試しに、サボテンを上手に育てているあの人に、「枯らしたことある?」と聞いてみてください。かなりの確率で「あるある!」という回答が返ってくると思います。実はサボテンと仲良くなるのは大変なのです。

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・サボテンを枯らす原因

では、なぜサボテンは枯れるのか。

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サボテンに水は必要か。

「水の一滴もない砂漠で元気に2本の腕を空に伸ばしてつっ立っている不死身スーパープランツ」というイメージの強いサボテンですが、まずサボテンが水をあまり必要としないのはなぜでしょう。

大前提として、水がなくても育つ植物というのは存在しません。

サボテンだって水が欲しいんです。大好きです。だって植物なんですから。花屋さんに並んでいる切り花や、学校の花壇に植わっているチューリップと、本質的には同じなのです。

ただ、サボテンとチューリップが違うのは、出身地の環境であり、その土地で何百年何千年と積み重ねてきた進化の過程。サボテンは乾燥した土地でなんとか生き残る為に一年のうちにほんのわずかしか降らない雨を体の中に蓄えてその水でその先の一年を乗り切る。という術を身につけました。自生地ではものすごく貴重な水を、命をつなぐ為にどうにか蓄えようという、要は苦肉の策です。むしろ、サボテンほど水を渇望してきた植物は他にないんじゃないでしょうか。

本当は水が欲しくて欲しくてたまらなかったサボテン。ですが、その水が滅多に手に入らない乾燥した土地に完全に適応しきってしまった彼らが、急に毎日水を与えられたらどうでしょう。乾燥した土に適応した根は、常に水分の含まれている土には適応できません。じゃあやっぱり水をやらないほうがいいんじゃないか! というと、そうでもない。だって考えてみてください。サボテンが体の中に蓄えている水、その水はどこから来たのか。根から吸う意外に彼らに水を蓄える手段はないと思いませんか。水が吸えなければ、いくらサボテンといえどもいずれ干からびてしまいます。

ここでもう一度自生地の環境について考えてみます。サボテンの自生地は大抵、雨が一切降らないわけではありません。年間降水量が極端に少ないだけなのです。実は雨、降るんです。

大切なのは、いつ、どのくらいやるか。決して、まったく必要ないわけでも、たくさん必要なわけでもない。その、いつどのくらいの水をやるか、を理解する為には、まず自生地の環境について多少なりとも学ぶ必要があります。よくある園芸書などの、1週間に1回、1ヶ月に2回などというのは、正直当てになりません。

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サボテンの水やり

サボテンは、基本的には鉢の中が完全に乾ききるまでは水をやってはいけません。しかし、鉢の中というのは見えない所なので、乾いたかどうかわかりません。心配になってついつい水をやってしまうという気持ちは痛いほど分かります。しかし、育てる=毎日水をやるというのは完全に間違った考え方です。

水のやりすぎに寄る害は、やらなさすぎのそれに匹敵します。

乾くまでやらない。やるときは鉢の底から流れ出るくらいたっぷりと。乾いたかどうかの見極めが難しい場合は、土地の中の水分量を教えてくれる道具もあるので、慣れるまでは使ってみてもいいかもしれません。

水やりのタイミングと考え方は同じですが、とにかく常に湿っている状態をサボテンの根は受け付けません。植え付ける土も、サボテンに適したものを使いましょう。適した土というのは、端的に言うと水はけが良くて乾きやすい土です。
サボテンの土というものも市販されているので、はじめはそういうものを使うのがいいと思います。
鉢も、プラスチックや釉薬の塗ってあるものでは水分を通さないので、いつまでも鉢の中が乾きません。本当は、素焼き鉢など、乾きやすい鉢が理想です。が、インテリア性も重要なので、慣れてきたらおしゃれな鉢に変えてみるのもいいかもしれません。

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日照も、温度も、大切

ここまで水やりにフォーカスして話を進めてきましたが、もう一つ大切なこととして、日照と気温があります。

これも、考え方は水やりと同じ。自生地の環境に極力近づけてやる必要があります。
これはかなりイメージ通りだとおもいますが、大抵のサボテンは日差しを遮るもののない、1日中直射日光の当たる環境にいます。ですから、基本的には屋内では育たないと思った方がいいでしょう。「室内の窓辺は一見明るく見えても実は暗い」という言葉、どこかで読んだことのある方もいらっしゃるかもしれません。

数字に置き換えると、屋外の直射日光が約10万ルクス、室内窓辺が数千ルクス。見た目ではわからなくても圧倒的な明るさの差があります。ぜひ一度、実際に計ってみるといいと思います。参考になります。

冬以外は外の日向で育てるのが基本ですが、真夏は真夏で気をつけなければいけません。なぜなら、意外なことに日本の夏の日差しは、自生地のそれより厳しい場合があります。また高温多湿というのも自生地にはない特徴。高温は得意でも、多湿には弱いのがサボテンです。

冬は冬で、サボテンの自生地でこれほど気温が下がることはないので、冬は室内の暖かくてなるべく明るい場所に取り込みます。気温が下がるとサボテンは休眠するので、水やりも控えることになります。これは、自生地での雨季と気温の相関関係をみると分かります。気温が高く雨の降る季節に成長し、気温が下がり乾燥する時期に休眠する種が多数です。

もちろん例外もあって、雨季が冬にやってくる地域の植物には、冬に成長するようなものもいます。

冬を越すには

ちなみに、上手に冬を越すコツは、『しっかり休眠させること』 寒いと枯れてしまうと思って暖房をガンガンに効かせていると、暖かいので成長はしますが、室内では光が足りないために徒長してしまいます。これを防ぐためには、冬には成長させない。という選択をするのが賢明です。品種にもよりますが、15度前後を保って水やりを控えておけば、枯れも成長もせず、しっかり春まで耐えてくれます。

※徒長:暗いところに置かれた植物が光を求めて背丈を伸ばすために間延びしてしまうこと。形が崩れて見栄えが悪いだけでなく、植物も軟弱になってしまいます。

『栽培』=『自生地の再現』

つまるところ、これらの自生地と異なる日本の環境を、できるだけ自生地に近づけてやる。ということが、「栽培」の本質なのだと思います。「植物」とか「サボテン」とひとまとめにせず、その品種ごと、その個体ごとに一番いい環境を作ってあげる。それこそが「栽培する」ということではないでしょうか。

水をやる、光合成させる。肥料をやる。そういった一言二言で言い表せるような単純なことではないはずです。

サボテンに限らず、どうしても植物を枯らしてしまう、という方は、ぜひ一度、その植物の自生地の環境について、調べてみてください。そして、ご自宅の環境と何が違うのか、一つ一つ照らし合わせてじっくり検討してみてください。きっと解決策があるはずです。

 

みなさまのボタニカルライフが、素敵なものになりますよう。

 

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