オリジナル肥料作りにチャレンジしてみます。
肥料は買ってくるもの、と、私も長い間思っていたのですが、色々な方のお話を聞いているとどうも自分で作れるらしいと、しかも安上がりだし簡単らしい。ならば作ってみようではないかと調べて作ってみたのが去年のこと。
やってみたら意外と簡単にできてしまったので、ことしは備忘録も兼ねてまとめてみました。
これ、使ってみると結構便利です。元肥にも追肥にも使えるし、家庭菜園レベルなら、年一回作っておけば他の肥料買わなくて良いんじゃない?と最近思い始めています。
ぼかし、とは。
ぼかし肥料とは、主に米ぬかなどの有機質を発酵させて作った肥料のことです。
「ぼかし」というのは言葉通りの意味で、発酵させて肥料の効き目を穏やかにする、「効き目をぼかす」という意味の「ぼかし」なんですって。そのままでは強すぎたりうまく機能しない素材を、発酵させて使いやすくするということですね。
ぼかし肥料は既製品もたくさん出ていますので、作るのが手間という方は買ってしまっても良いと思います。成分のバランスも計算されているので、失敗もありません。
しかし、市販品の材料をみてみると結構牛糞や鶏糞など、動物性肥料を配合しているものが多いんです。私は極力動物性肥料を使わないようにしたいと考えているので (庭に牛さんのうんち撒くのなんかやだなぁとか、笑、ごめんなさい個人的なこだわりです。) 極力、植物性のものだけで施肥するようにしています。でも、いざ植物性で揃えようと思うと、これがなかなか難しくて。特に植物性のリン酸肥料が難しく、米ぬか意外に見当たりませんが、これは発酵させないと肥料として働いてくれないので、お米やさんからもらってきたところでそのままでは使えません。仕方なくバットグアノを使用していましたが、これが高価で高価で。
それに、なにより、自分で作る野菜です。自分で作ったものに、自分の意識の及ばないところで作られた肥料を使うって、なんかもやもやしませんか。自分で作った野菜が何からできているか、やっぱり知っておきたいじゃないですか。ご飯だって、買ってくるより作ったほうが美味しいし体にいいんです。肥料だってきっとそうだと思いませんか。
ちなみにこのぼかし肥料ですが、特に明確な作り方が決まっているわけではありません。
十人十色、千差万別です。
米ぬか、籾殻、腐葉土あたりを使って作るのがメジャーなようですが、極端な話、有機質なら入れたいもの入れちゃって大丈夫。生ゴミ入れて作る人もいます。ただ、目的に合わせてどの成分がどのくらい得られるのかはある程度意識しておかなくてはいけません。
あくまでここに載せているのは私の好みの配合で、これよりもっと良いぼかしがあるかもしれませんし、自分の求める効果によって、入れるものや配分を変えてみるのがいいとおもいます。
いろいろと試してみてください。私も今後、いろいろやってみようと思ってます。(生ゴミ捨てるの重いしめんどくさいので、いずれ生ゴミ肥料もしてみたいです。)
さて。
長くなりましたが。
そろそろ作りましょう。
今回は、小規模の家庭菜園で使いやすい分量として、米ぬか700gをベースに、かつ、手間のかからない嫌気性発酵で作っていきます。(好気性発酵だと、早くできますが切り返しなどの手間があります。)
量はお好みで計算し直してください。
《材料》
米ぬか:700g
油粕:250g
草木灰:250g
牡蠣殻:200g
※腐葉土:目分量で米ぬかの半分
※発酵促進剤60g(促進剤の表示に順ずる。)
水:230ml(投入資材の10分の1が目安。 様子を見て加減。握ってほろっと崩れるくらい。)
《手順》
- ※と水 以外を混ぜ合わせ、水を加えて練る
- 腐葉土、発酵促進剤を入れて混ぜる
- 黒ビニールに入れて密閉
- 夏1カ月、冬3カ月。雨と日光の当たらない場所で常温放置。
- 風通しのいい日陰で乾燥させて発酵を止める。1年は使用可。
初めから順番に見ていきましょう。
【腐葉土と発酵促進剤以外の材料を混ぜる】
まず
- 米ぬか700g
- 油粕250g
- 草木灰250g
- 牡蠣殻石灰200g
を混ぜ合わせます。


発酵油粕という商品もありますが、今回はこれから発酵させるので、発酵してないただの油粕を使います。

今回はカリウムの補充のために入れていますので、カリ成分が主体のものを選びます。
草木灰はカリ肥料の代表ですが、成分をよく見ないと、窒素がやたら入っていたり、カリがとても少なかったりします。
微量要素の補完に、牡蠣殻石灰。微力ながら悪玉菌の抑制にも期待。
全部入ったら、一旦全て混ぜてしまいます。
この後水を加えますが、その前に全体を馴染ませておいた方が、変に偏ったりダマになったりしにくいのでいいと思います。
綺麗になじんだらOK
米ぬかが窒素、油かすがリン酸、草木灰がカリウムをそれぞれ補うので、それぞれの材料に目的の成分がしっかり含まれているかを確認してください。例えば、草木灰はカリ肥料の代表ですが、製品によってはリン酸が一番多く含まれているようなものもあります。これを使ってしまうとリン酸過多、カリ欠乏になりますので、ネットで買うときは、肥料成分の表示のないものは買わない方がいいですね。
【みずを加える】
水を加えてまぜます。入れるのは普通の水です。水道水。常温。塩素とかカルキとか、気にしなくて大丈夫です。

水を加えます。投入資材全量の10分の1位が目安ですが、もともと材料に含まれている水分によって大きく変わりますので、あくまで目安です。
今回は230ml入れましたが、混ぜた時の様子で加減しましょう。
ですが、加減しろと言ったって、その加減がわからないじゃないか!という話です。わかります。
「握ったら固まるけど、ほろっと崩れるくらい」というのが定番ですが、料理本の「耳たぶくらいの固さ」と同じくらい曖昧でもやもやする表現です。まぁ、実際「ほろっと」なので、それ以上のいい表現が見つからないのがもどかしいですが、せめて少しでも参考になればと思い、実際に「握ってほろっ」とさせた様子を撮りましたので、四コマでご覧下さい。




…イメージ湧きますかね。
要するに、水が多すぎると腐る。少なすぎると発酵しない。だからその中間を狙ってください。ということです。
最初に水を加え始めたときは、あれ?全然足りないじゃん。と思うくらいで大丈夫です。足りないじゃんくらいの量で、一度思いっきり全体をかき混ぜて、これでもかと練り倒してください。だんだん水が馴染んで、「あ、以外と足りるんだね。」と思うくらいまとまってきます。継ぎ足すのはここからです。絶対に最初からたくさん入れないようにしてください。振り出しに戻ってしまいますから。
【腐葉土と発酵促進剤を混ぜる】
しっかり混ざって、握ってほろっとなったら、腐葉土を混ぜます。目安は米ぬかの半分。重量比でなく、見た目で良いと思います。米ぬかを計ったのと同じ容器に半分の量で計っています。

なぜ最初に混ぜないのかというと、腐葉土に結構な水分が含まれているからです。最初から腐葉土を混ぜてしまってもいいんですが、この手順の方が、水分量が見計らいやすいです。個人的な意見ですが。
腐葉土に水分が含まれているので、ここから腐葉土を混ぜても、握ってほろっと具合はさほど変わりません。腐葉土が乾いている場合はここでもう一度水を足してもいいですが、腐葉土の良い菌に発酵を手伝ってもらう意図もあるので、できれば良質なしっとりふわふわの、森の匂いのする腐葉土が良いです。(畑の土や、森から取ってきた土着菌を入れる人もいます。落ち葉の裏に付いてる白いやつとかですね。)
さらに発酵促進剤をふりかけてさらに混ぜます。促進剤は必須ではありません。なくても発酵します。保険です。
使う場合は、嫌気性発酵に使えるものを選んでください。
促進剤を入れたらもう一度よく混ぜます。
【密封】
全部混ぜ終わったら黒ビニール袋に入れて密封します。今回は嫌気性発酵なので、できる限り空気を抜きます。


空気の抜き方が不完全だと、嫌気性発酵は失敗してしまいますのでしっかり抜きましょう。
できたら箱に入れます。
箱は、佐川じゃなくて良いです。
クロネコでもアマゾンでも良いですが、できればタッパーとかの方が良いです。箱に入れて雨や日の当たらない常温で夏は1ヶ月、冬は3ヶ月寝かせたら、ひとまずおしまいです。
一定期間経過したら開けてみて、甘酸っぱい匂いがしたら成功。腐敗臭やアンモニア臭がしたら失敗です。ちなみに、発酵中、発熱はほとんどありません。不安になっても開けたり諦めたりしないでください。きっと成功しています。
【発酵を止める。】
完成したら、発酵を止めます。
今回は4月8日に仕込んで6月9日に発酵を止めましたので、約2ヶ月です。
風通しの良い日陰で、サラサラになるまで乾かしてください。
乾燥すると菌が休眠に入るので、発酵が止まるんです。発酵を止めておくと、半年から1年は使えます。乾かす時、多少匂いがあるので、ご近所が近いときは配慮が必要かもしれませんが、そんなにとんでもない匂いではありません。
こんな感じになります。
成功していると、甘い匂いがします。
目をつぶっていたら、「あれ?食べられるのかな?」と思う様な匂いがします。(感じ方には個人差があります。)
腐った様な匂いや、あまりにも酸っぱい匂いが立ち込める場合は失敗している可能性がありますので、残念ですが作り直しましょう。
袋を開けた瞬間に「ぶふぉっ…っとぉ??」と、のけぞりそうになったら失敗と思ってください。
虫が湧きやすいので、蓋のある容器で保存してください。
以上です。
元肥にも追肥にも、いろいろ使ってください。元肥は根に触れないように底の方に。追肥は少量を複数回、こまめに与える感じです。
初めての肥料作りの一助になれば、幸いです。